完全オンライン上で、
組織のチームビルディングはできるのか?

-優れたチーム形成の本質的要素とは-

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完全オンライン上で組織のチームビルディングはできるのか?

優れたチーム形成の本質的要素とは?

 

ポイント

 

・完全オンライン(Webex)上で組織のチームビルディングをおこなった
・オンライン、現地集合型ともにチームビルディング自体の本質は不変
・集合型行動学習のノウハウをオンライン型に転換した

  

概要

 
 
リモートワーク中心の勤務形態でプロジェクトを進行させるにあたり、自走できる力を持つチーム形成を果たしたいという要望を受け、今回の研修プログラムが実現した。
2020年秋の段階では新型コロナが小康していたため、当初は野外を含めた集合型の研修を行う予定であったが、その後の情勢変化からオンライン上の研修となった。
 
プログラムの組み替えにおいて、リアルでの主眼であったプロジェクトチームごとの課題の洗い出しと、充分なチーム醸成はそのまま移行することを心がけている。
 
リモートワークとは、端的には共同空間から個が切り離されることであり、これがチーム形成での大きな阻害要因でもあると考えられる。
弊社はこれまで対面型の研修において、実際のプロジェクチームのチームビルディングを数多く行ってきた。そこでは、行動学習を通じて、個々の理解度や貢献度が、あえて顕著に全体の結果に影響するような課題演習としている。
オンラインでプロジェクトチームに対するチームビルディングを実施するにあたり、画面を通した研修では、実際に体を動かす等の行動学習を実行するには大きな制約があることは分かっていた。
しかし最もオンラインの形態に適した、いわゆる座学だけで、チームビルディングに大切な要素について知識を付与したところで、結局の所、個々人への具体的なアプローチは充分ではない。
すなわち深い内省なくしては個々人の行動変容まで望めない。そのため、「行動の結果によって自ら学ぶべし」という弊社の基本的な理念は、オンラインにおいても貫くこととした。
 
プログラムでは、対面型で学べる各要素を残しながら、オンライン上で仮想的に仕事や仲間に対するビジョンの共有と、それへの貢献を必要とする課題を設定してある。
「自分たちはどこに行こうとしているのか」
そして事後の振り返りにおいては、「そのためにあなたは何をやったのか」
個が切り離された状態の中、それらを中心とした行動学習とすることで、当初から重視してきた学習要素のオンライン化を達成しえたと言える。
 
 

本研修プログラムの枠組み

 

対象

 
社会課題に関連した新規事業を担う室のなかで、3つのプロジェクトチームが選ばれ、それぞれPMおよびメンバーと、加えてグループマネージャー、室の最高責任者の合計20名が参加した。
 

日程

 
実施期間は、オンラインの特性を最大に活かし、小分けにして実施した。
半日+1日+半日の延べ合計3日間を、インターバルを置いて実施した。インターバルでは中間ワークを提示し、個人でプロジェクトの意味の考察や次回ワークの自己考察を行うこととした。
 

スケジュール

 

 

 

背景と課題

 
一般的に、プロジェクトの抱える問題は多岐である。
 

 ・枠組みの段階からスタックしている場合
・事業そのものがトラブルなどで壁にあたっている場合
・あるいは今回のように、社会情勢の影響もあってプロジェクトの半ばで室長も含めた人事異動があり、新しい体制でのチームワーク醸成が不完全な場合

などである。
 
また特にこの事例においては、本来業務と兼務のメンバーもおり、リモートワーク中心の勤務体系もあいまって、プロジェクトについて、PMとメンバーが密にコミュニケーションをとれる機会が限られるという側面もあった。
 
このような状況を打破し、プロジェクトごとの課題を洗い出した上で、今後のロードマップを描くことに基礎づける。今回の研修テーマは以上に集約される。
 

狙い

 
背景と課題を踏まえ、ねらいは、次の3点が掲げられた。

 
1.各プロジェクトの目的と意義、ゴールの明確化と、室全体の方向性の確認
2.室長⇔PM⇔メンバーの相互理解
3.個々人のゴールに向かう当事者意識の醸成すなわちリーダーシップ

 
この3つのねらい「方向性の共有」「相互理解」「個々人の主体性と貢献」はチームビルディングにおいて欠かせない三要素であり、三位一体である。

チームビルディングの三要素

チームビルディングの三要素

 
 

プログラム構成のポイント

 
 
・「融和の促進」を主目的としたコミュニケーションを課題とした体感アクティビティを、各回の開始直後に行う。
これは、アイスブレイクのみならず、オンライン上でのチームビルディングの進め方についてチュートリアルを行い、足並みをしっかり合わせる副次的要素も兼ねている。
さらにこの体感アクティビティの成果を踏まえ、階層に依存しない成果を出すために大切な行動様式=行動によるリーダーシップについても触れ、導入的な学びを深めた。
 
・プロジェクトごと、および、室全体の方向性について、MissionVisionValuesというフレームを使い、改めて何のために各組織が存在し、それぞれがどこを目指し、何を大切にしているのか、ストーリーテリングの手法を用いた体感型ワークをおこなった。
抽象的なMVVという概念を、ストーリー仕立てで具現的に表現するという課題である。
室長とPMを中心としたグループと、メンバーを中心としたグループに分け、それぞれが描いている方向性を相手に具体的なイメージで語り聴かせ、リーダーとメンバー間で共有しあった。
その後、これを礎として、各プロジェクトの目的とゴールの明確化をおこなった。
 
・プロジェクトのゴール達成のためには室長やPMというリーダー役だけではなく、メンバーの主体性が欠かせない。それぞれの立ち位置からどのようなリーダーシップが必要かを実感するために、仮想組織上で各階層のファンクションをロールプレイできる活動演習を行った。

この活動では特に個の行動が露呈し、「チームの陰に隠れることができない」というオンラインの性質が顕著にあらわれた。
 
 

学びの成果

 

事後に集まった参加者の実際の声を、以下に抜粋する。
 

  • ある程度認識していたメンバーの特性を再確認することができた。加えて、日常では埋もれていても、個性としてはさらに光る力を持っているメンバーがいることも確認できた。

 

  • チームで活動する上での役割や行動を改めて学ぶことができ、良かった。

 

  • 成功、失敗を通して「次に何をすればよくなるか」を経験として感じることが出来た。行動学習を重ねて、チームワークが良くなるのを実感できた。

 

  • 活動前からメンバー全員で向かう方向を明確にして腹落ちする必要があると認識していたため、まさにうってつけの機会だった。

 

  • ポジティブフィードバックと改善フィードバックを日常業務ではメンバー間で話すことはほとんどないことから、この機会で言い合えたことは今後の相互理解につながると思う。

 
 

  • チーム内で暗黙知であったMVVを明文化できたのは良かった。また、それが組織全体のMVVともリンクしており、同じ方向を向いて業務を進めていることが分かったので、今後の業務を進めるにあたっての自信に繋がった。

 

  • 新チーム体制でMVVを話す場を作り、ゴールの統一を図れたのは良かった。

 

  • 日ごろ感じている課題について組織長など、リーダーと話す機会がなく、後回しになってしまうことが多かったため、強制的に言う場を設けていただけたことは良かった。

 

課題

 

集合型行動学習を長年行ってきた弊社の経験は、今回のオンラインチームビルディングに活かすことができた。しかしその反面、いまだ研修、特に行動学習のオンライン化については、課題も残る。
これらについては、今後の大切な顧客との11回のパートナーシップの中で、解決を図っていきたい。
 

1.大人数単位で共通の課題演習を行うことが難しい

 
リアルの場合、同じ空間の全員に対してひとつの課題を与えれば、全員がひとつのチームとなって取り組むことは、自然に可能である。
しかしオンラインの場合は、例えば20名が全体ルームに集合している状況で、一人ひとことを順に発言していくだけで、膨大な時間の消費となる。つまり一斉に話し合うということが現状では難しい。
また、全体の意見に同意しているのか、疑問に思っているのか、互いの顔色が見えにくいこともオンラインでの議論の難しさである。
これらは今後、大人数を単位としたチームビルディングを目的とする場合に、解決すべき点となろう。
 

2.関わり合いが小ルーム単位となってしまう

 
活動のために割り当てられた小ルームのメンバー間でしか、互いに話し合うことが難しい。
解決の方法として、小ルームで行う課題を増やし、関わり合いの組み合わせを増やしていくことが、現時点での最善策と考えられる。
また休憩時間に雑談やお互いのプライベートな話をすることの困難さも想像される。
 

まとめ

 
リモートワークが続くなかで、チームのコミュニケーションが深まらない。あるいは、メンバー個々の能力を充分に活かしきれていないのではないか。オフィスという共同空間での業務から、在宅オンラインへ移行する上では、当然そのような問題も起こりえると考えられる。
リモートワークが業務の標準となれば、リアル前提で構成された組織運営・セルフマネジメント・情報を含めたコミュニケーションは変革を迫られる。
しかしそれで、本研修の1つのテーマである、チームビルディングの、何が阻害されるのだろうか。
 
オンラインでチームを醸成するために不足することとして、もっとも露わになりやすい要素は
相互理解、つまりお互いの人間性や強み・弱み・能力を理解することであろう。
これは、一見チームビルディングにおいて本質的かつ最重要な要素に感じられる。
しかし優れたチームを想起した時、果たして相互理解だけが求められる要件なのであろうか?
 
そしてまた、社会における働き方が変化する中で、今後オンラインでの業務進行は標準化されていくであろうが、オフィスという共同空間をもたないリモートワークには、互いの進捗やプロセスが見えにくい、という大きな特質がある。
課題というゴールがあり、あとは個々人にかなりの程度タスクがゆだねられるのである。
その中で、個々人がどれだけの貢献を果たすか。それをやる気になるかならないかまで含め、どのように、組織またはプロジェクトに対して正確に取り組めるか。
これらは、チームとしてより良い成果を出すためには、必ず重要なファクターとなる。
オンラインという仕事の形態は、空間の共有がないことで、よりいっそう、仕事や仲間に対するビジョンを必要とする、と言える。
 
今回オンラインでの行動学習で抽出された、チームビルディングにとって重要なファクターは、実はコロナ以前の働き方においても、空間共有というオブラートでぼかされていただけで、より良いチームであるための本質的な要素であった。
長年集合型研修でチームビルディングに関わってきた弊社の経験上、優れたチームは自然に、あるいは意識的に、同じ本質的な特徴を備えている。
 
優れたチーム形成において最も大切なこととは、相互理解を前提とした上で、かつ、個々人が共通の目的・目標に向き合う主体性、言い換えると自分がチームをゴールに向かわせるという当事者意識を有することである。
それらを仮想的に持ってもらうことが、今回オンライン上で行った課題演習に共通する集約点である。そして研修後もそれぞれのプロジェクトや業務に対し、恒常的にそれを発揮してもらうことこそ、当研修が期待しているところである。
 

キャンドゥー株式会社
2020年12月